始まり

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青い屋根の平屋建て。表札には中川とある。ママの旧姓だ。 多分ここがお祖母ちゃん家。 チャイムを押そうとする指が微かに震える。 心拍数は徐々に早くなり、今にも心臓が破裂しそう。 「きゃっ!」 チャイムを押してないのにドアが開いたから、あたしは変に高い悲鳴をあげてしまった。 そこには背の小さい腰の曲がったお婆さんが居て、あたしを見ている。 「あ、あの!あたし!」 言葉が出ない。祖母とは言え初対面と変わらない人と話すなんて無理!まして人違いだったら恥ずかしくて死にそう! 「ああ、ああ、マヒナだナイ?よく来なさった。洋子から聞いてっから。上がりな上がりな」 洋子はママの名前。間違いなくこの人はあたしのお祖母ちゃんだ。 お祖母ちゃんはあたしを温かく迎え、扇風機のある部屋に通してくれた。 部屋のサッシは開かれ、外から風が入ると思ったより涼しかった。 あたしは大の字になり、長旅で固くなった筋肉を解す。 背中に当たる感触は固いけど気持ちいい。 これが畳って物かな?何だか新鮮。 暫くして、あたしがウトウトしてたらお祖母ちゃんがドアを開けた。ドアじゃなくて襖だっけ?まぁいいや。 「マヒナ、晩飯の用意が出来たから来な。婆ちゃんの作るもんだから若けぇ子に合うかわがんねげど」 やっぱり優しい笑みでお祖母ちゃんが言った。この笑顔を見ると不思議に不安が消える気がした。
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