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キッチンにある長方形のテーブルには本で見た日本の家庭料理が並ぶ。
ジャガイモ、お肉、人参、あと…糸こんにゃく?
これは肉じゃがだ。食べてみたかったから嬉しい!
他は名前は分からないけど、こんがり焼けて油がジュージューと踊っている魚。
とても美味しそう。
「お祖母ちゃん、このお魚は何?」
「秋刀魚。マヒナは初めてが?」
「うん!美味しそう!」
「そかそか。いっぱい食え」
お祖母ちゃんも嬉しそうに笑う。
本当に温かい笑顔。
「いただきます!」
あたしは言うが早く、木の箸を握る。
でも使い慣れてない食器に苦戦した。
「おやおや、箸は難しかったが?ほれ、これを使え」
「ありがとう!お祖母ちゃん!」
差し出されたフォークを受け取り、あたしは秋刀魚と肉じゃがに手を伸ばす。
美味しい!日本にもこんな美味しい料理があるんだ。
お祖母ちゃんと他愛のない会話をしながらの食事は楽しい。
ここに来るまであたしを包んでいた不安は、いつの間にか消えていた。
きっとお祖母ちゃんの温かい雰囲気のおかげだと思う。
こんなに相手とお喋りするのはパパとママ、そしてお姉ちゃんだけだった。
「ご馳走さま!美味しかったよ、お祖母ちゃん!」
「そりゃ良かった。明日はマヒナの食べたいもん作ってやっがらな」
「うん!でも肉じゃがも最高だよ!お祖母ちゃんの料理だいすき!」
お世辞じゃない。 本当にお祖母ちゃんの料理はあたしに幸せをくれた。
「あ、片付けはいいがら。婆ちゃんがやっからマヒナは休みな」
「ううん、お世話になるんだもん。これくらいやらせて」
あたしは自然な笑顔で食器をキッチンに運ぶ。
お米の付いた茶碗は水に浸けておく。これは日本へ来る前にママから習った事。
他にも日本で暮らすのに必要な事は色々と習った。
あの時は渋々だったけど、今思えば習って良かったと思う。
1人暮らしのお祖母ちゃんに、いきなり家族が増えるんだもん。お手伝いくらいしなきゃ。箸の練習も頑張れば良かったなぁ…
「マヒナは良い子だない。おめぇみてぇな孫が居て婆ちゃん幸せだ」
「これくらい普通だよ」
照れ隠しに髪をいじる。絶対あたしの顔は赤くなってるに違いない。
「こんな良い子なら友達もいっぱい居んだべ?」
お祖母ちゃんの言葉にあたしの手が止まった。
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