始まり

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「どうした?マヒナ?」 背中から聞こえる心配そうな声。 どうしよう…理由を話したら心配させるよね。 でも…… 「あのね…あたし友達と呼べる人がいないの。差別とか少しあって。それに人見知りだから。その…話すのが上手く出来なくて…」 「そうだったが。マヒナ…人種なんか関係ねぇ。友達はな、無理やり作るもんじゃねぇんだ。気付いたら自然に友達になってんだ」 「自然に?」 「んだ。自然にだ。友達作っぺって必死になっとな、変に力が入っちまって逆に壁作っちまうんだ。マヒナは人見知りだって言ったな?」 あたしは頷いた。 「それは怖がってっからだ。」 「怖がる?」 「んだ」 そう頷くとお祖母ちゃんはテーブルの椅子に座った。 「マヒナはなぁ…自分に自信がねぇんだ。だから些細な事でも嫌われたらどうすっぺとか考えちまうんだべな。んだがら言いたい事が言えねぐなる」 図星だ… お祖母ちゃんはお茶を飲みなから続け た。 「まずは笑う事だ。さっきみてぇにな。したら自然と人が集まって来る。その中にきっとおめぇの友達になる子が居っから。はっきり自分の気持ち言ってみっといい」 「うん…」 そんな勇気ないよ… でもお祖母ちゃんの言う通りだ。確かにあたしはハワイの学校では身構えてばかりだった。言いたい事も言えず俯くばかり。 「学校は明後日から行けるように話してあっから明日は町ん中ブラブラしてくっといい」 「うん…ありがとうお祖母ちゃん」 初めての国。初めての町を散歩か。 日本語は話せるから買い物でもしようかな。 友達は無理でも、せめてここでの生活に馴染まないとならないしね。 「どれ…風呂でも沸かしてくっか。マヒナは部屋で休んでろな」 あたしはお祖母ちゃんの背中を見つめて、言われた言葉を胸にしまった。
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