出会い

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水色のカーテンを開くと眩しい太陽が部屋を照らす。 時計を見る。時刻は朝の8時。 お寝坊さんなあたし。 昨夜はお風呂に入った後ぐっすり眠ってしまったようだ。 顔を洗う為、キッチンに向かう。 「起きたか?んじゃ朝飯にすっぺな」 ニコニコ顔のお祖母ちゃん。 日本で生活するあたしには唯一の救いだ。 お祖母ちゃんはテーブルに卵焼きと納豆を用意した。 聞いた話しだと、とても臭くてネバネバしてる…あの納豆。 ええい!これも日本文化だ!頑張って食べよう! 洗顔して椅子に座り箸を握る。 今日は箸使いをマスターしてやる! そして納豆に勝つ! 「いただきます!」 戦闘開始!お祖母ちゃんの真似をして箸で納豆を混ぜる。 混ぜる。混ぜる。混ぜる! 手が疲れた頃、納豆は蜘蛛の糸のように絡み合い、キラキラ光っていた。 「く…」 臭い… これほどとは思わなかった… でも、お祖母ちゃんは美味しそうに納豆を食べている。 あたしもご飯に納豆を乗せ、口に運んだ。 「美味しいけど凄い匂いだね」 「納豆は栄養あっからな。ちゃんと食え」 苦笑のあたしにお祖母ちゃんはケラケラ笑う。 卵焼きは甘くて本当に美味しい。 ママの味と同じだ。 また、ちょっぴり家が恋しくなった。 食器を洗って戸棚にしまう。 今の所あたしに出来る精一杯のお手伝い。 お祖母ちゃんは畑に行く準備をしている。 と言っても、家の裏にある小さな畑らしい。 そこで大根とか作ってるんだって。 あたしはお出かけに着る服をバッグから出す。 水色のキャミソールに薄いピンクのフレアスカート。 少しは大人っぽく見えるかな? 「もう出かけんのか?」 「うん。昨日お祖母ちゃんに言われた通り散歩して来るね」 「車に気をつけてな」 「はーい」 町に行くにはバスを使う。近くにはデパートとか無いから少し不便。 あたしはタイミング良く来たバスに乗り、町へと向かった。
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