92人が本棚に入れています
本棚に追加
理由をどうやって聞こうかと、口籠ると、隣の赤毛の方が、気が付いたらしい。
「俺達はね、この星の出身じゃないの。他の星の出身、意味、分かる?」
鬼城家、他の星の出身者に偏見は無いが、特殊能力を得る者は、この星の出身者が圧倒的に多い。故に、他の星の出身者は、二十歳を区切りに、身の振り方を決める。
出世の望みの薄い鬼城家に残るか、他の星で別の職業に付くかだ。鬼城の星の出身者は、本当に強い。他の星の出身の者は、九十パーセント以上の者が、母星に戻り、警備や警官になるという。
「あの、俺達と一緒に仕事してください。俺達のチーム、Sランクが居ないのです」
「何人?」
「七人です」
赤髪がにっこり笑った。
「いいよ」
合わせて十人居れば、まともな仕事が出来る。赤髪は、笑顔で仕事を取りに行っていた。
で、赤髪が取ってきた仕事を見て驚いた。
「S級の仕事ですよね、コレ…」
宇宙に君臨するマフィア、フラビオ家のパーティの警護だった。
「十人の仕事ですか、コレ?」
源も涙声になっていた。
「ああ、警護するのは息子の一人だけだから、十人居れば大丈夫」
三人の一人、優しい笑顔の青年がニコニコして言った。だいたい、出会ったばかりで、こんな大仕事を取ってくるのは、どうかしている。俺達の能力も、知らないというのに。
「あの、俺達が誰だか知って言っていますか?」
大きな仕事はしたことのないチームだと、少々、自分を卑下した気分になった。
「銀狐(ぎんこ)だろ。狐の組のチーム銀だね。今、最高位のチームは白、最下位が銀。Sランクは、この星の全員の特徴も覚えている。いつ、誰と戦うハメになるかは分からないしね」
Sランクって大変な人物のようだ。
「とりあえず、銀狐の全員と会いたいのだけど、いいかな?」
最下位の銀だから、まともな集合場所を持っていなかった。頭脳担当の枸杞(くこ)のバイト先の喫茶店(甘味処)に集合すると、溜息を付かれた。
「ここでは、ダメだな」
赤毛、何だか、態度が腹立つ。
「そっちの場所を貸してください」
Sランクの場所というのを、見てやろうという気になった。
「いいよ、でも、体力を使うよ」
さて行くかと、案内をされたが、街は通り過ぎた。そして、家が無くなり、道が無くなった。走ったまま、山を登り続け、山の山頂近くまで登った。鬼城から、上に十五キロは走ったかと思う。
最初のコメントを投稿しよう!