第1章

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 天陽不座(てんようふざ)   序章(番外編) 第一章 過去から来た人々  チーム存亡の危機に、立たされていた。  俺の所属するチームから、一人抜けた。弱小チームなので、それも痛いが、しかも、ランクSの者だった。ランクSが、一人以上居ないと、チームとして仕事に参加できない。俺の所属するチーム、ランクSが一人しか居なかった。  ランクS、現役引退するという。確かに、俺達の親の年であった……  護衛、警備、ボディガード、時には暗殺、宇宙で五本指に入る、シークレットサービス鬼城家は、星一つを丸ごと買い上げ存在していた。最新型の機材や、銃器を使用するが、創設者の趣味で、その存在は忍者と呼ばれ、その星の中はまるで江戸時代に近い。  鬼城家(おにしろけ)は、ヤクザの家ではない、シークレットサービス、セキュリティサービスの専門家の集団だった。  その集団に所属する俺、御卜 春友(みうら はるとも)は、チームの存亡の危機にあった。鬼城家は、完全歩合制、他のチームの手伝いでは食べてゆけない。  仲間と立ち上げたチーム、銀狐(ぎんこ)がやっと軌道に乗ってきた時だった。  Sランクは、少なく、どのチームも手放さない。俺達は、かつての教官に頼み込んでチームを作った。教官自体が、現役を引退した者の職業だったので、又、引退したいという気持ちは分かる。 「方法がある」  銀狐のチームメイト、源 一二三(みなもと ひふみ)が腕を組んで呟いた。 「最近、任務で行方不明になっていたチームが、二十三年振りに帰ってきた。だが、未だ、大半は行方不明で、チームとして活動していない」  その噂は聞いた事がある。組名は、鬼同丸(きどうまる)。鬼同衆(きどうしゅう)と呼ばれるチームと、鬼若集(おにわかしゅう)と呼ばれるニチームで構成されていた。どちらも、当時、最上級チームで、特に鬼同衆は、Sランク以上のみで構成されたチームだった。  内容は明かされていないが、二十三年前、任務中に全員が行方不明になり、現在に至る。 「二十三年間、行方不明だろ。どんな爺様たちだよ…」  でも、背に腹は代えられない。鬼城本部へ行き、頼み込む箏にした。名義だけでもいい、貸して欲しい。
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