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木造家屋、在っても二階までの街並みに、基本和服と、宇宙から今帰ってきたような最新の宇宙服が入り混じる街。鬼城本部は、城のような建造物で、皆に本家、母屋などと呼ばれ親しまれている。
基本、鬼城家の関係者しか、この星には居ないので、全員が社員、家族のような雰囲気はあった。
本家に到着すると、最初に新人の入る宿舎がある。ここで暮らしながら、修業するのだが、最近は人数が減っていた。鬼城家が昔ほど、派手な仕事をしなくなったので、希望者が減っているとの噂があった。
主に十歳前後から修行が始まるので、他の星の者では決断できないのかもしれない。
次に鬼城に所属する、エリートの中堅が住む住居が、長屋のような作りで続いている。本家に住めるという事は、本当にエリートとなる。建物に囲まれた中庭を抜けると、大広間、食堂などを経て、やっと、本部へとたどり着く。
仕事を探しに来たチームが、一階に集っていた。皆、顔見知りなのだが、一部知らないチームが混じっていた。
「何だ、ありゃあ」
一言で説明できないが、年は俺達と同じくらいで、二十歳を過ぎたか過ぎないかのあたり。三人が立っているが、とにかく目立つ。まず、見目麗しい?ちょっと近寄りがたい。
美形というのかもしれないが、かといって弱いという感じはなく、きっちり鍛えている体型をしている。がっちりとはしていないが、ぜい肉は全く無い。
「仕事、探しているのか?」
三人の内でも、やや幼い顔立ちの黒髪に話しかけてみた。
「ああ、でも、俺達三人だからな…中々、ないな」
ここに居る三人でチームのようだ。チームということは、もしかして、Sランクが居るのだろうか。
「Sランクは居るのか?」
黒髪がまじまじと俺を見た。目の色が、深い蒼で、むしろ黒一色に見えた。髪も黒いが、肌の色は白い。
「俺達は、全員Sランクだよ」
全身Sランクなんて、聞いた事も無いチームだった。
「どこの出身?」
「鉄鎖(てっさ)」
鉄鎖は、鬼城家の中でも、古株のエリート集団だった。
「…何色出身ですか?」
だんだん敬語になってしまった。
「黒」
鉄鎖の黒は、暗殺部隊だった。暗殺部隊で活動していたのならば、知らないチームというのも頷ける。暗殺部隊は公の場所に顔を出さない。でも、鉄鎖の黒の出身であったならば、三人でチームではなくても、どのチームも欲しがるだろう。
「あの…」
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