ストレイ・シープ

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「分かった」 それは、了解よりも突き放しの語調だった。 私は構わず折り畳み傘を開く。 あんたなんか、どこにでも行け。 薄暗い中に、一部だけパッと緋色の傘の明かりが差した。 「じゃ、がんばって」 ――どうせ駄目だろうけど、せいぜいがんばって。 強まる雨脚の中、背を向けて早足で歩き出した後ろ姿はそう告げているように見える。 私も歩き出す。 傘を叩く雨粒の音から、思ったより勢いの強い降りだと分かった。
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