ストレイ・シープ

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農学部のキャンパスはここからかなり歩くから傘なしではきついだろうな。 そう思いながら見やると、まだ早足でもそこまで遠くには行っていないはずの博史は、嘘のように姿を消していた。 もしかして、農学部じゃなくて、どこか別のキャンパスでの授業だったのかな? それとも、私が今、話したのは、博史ではなくて別人? 見知ったはずの大学の構内が急に迷路のように見えて、一瞬、目眩が起きる。 先ほど手を置かれたはずの左の肩にひやりとした風が通り抜けた気がした。(了)
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