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ふと、ガラス越しにぶつかる視線があった。
次の瞬間、ガラス窓に映った博史は手にした本にすっと目を落とす。
どっと車内に人がなだれ込んで来た。
ガタンと音がしてまた電車が動き出す。
あの人、同じ車両に乗ってたんだ。
改めて実物に目をやると、博史は既に新たなページを捲るところだった。
書名までは分からないが、薄っぺらい感じの表紙に横文字が入っているらしいのが認められる。
きっと、向こうも教科書を読んでるんだな。
同じ大学といっても、私は文学部で、彼は農学部なので、普段は学内でも顔を合わせることは少ない。
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