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モーニングセットが出されたときに、おじさんも目当ての本を見つけて戻ってきたようだ。
「小鳥ちゃん。ここは素晴らしい!!」
よくこんなブックカフェがあったもんだ、そんなことをいってるけどここは…おじさんの目的の場所の筈なんだけどね。
「そういえばおじさん、いきたがっている本屋って、『満天星堂』のことだよね。」
「そう、それだよ。そうそう、そこを探して…」
「ここだよ。」
「………るんだ………え??」
「ここ。」
「はは、冗談はよせやい。」
僕は、カウンターの方を指差す。
そこには、『満天星堂』と書かれた看板が。
「………………………。」
呆けた顔したガベルおじさん。
あ、ダメだ。思考が止まってる…。
「さっさと食べましょう。冷めてしまいますわ。」
カナリアが催促したことで、ようやく食事が始まる。
食事は、サンドイッチ、シーチキンサラダ、コーンスープ。
カナリアはこういう庶民の食べ物は初めてのようで、食べ方がわからずアワアワしている。
その点、おじさんは、ガツガツと食事を食べていた。
「しょうがない…か。」
カナリアにサンドイッチの食べ方を教えたが、
「手を使って食べるなんて、下品ですわ。」
といって食べようともしない。仕方ない、こうするか。
僕はサンドイッチを手に取り彼女の口元に近づける。
「はい、あーん。」
「………ふぁっ!?」
「手を使いたくなかったら、僕が食べさせてあげるよ。カナリアお嬢様。」
「ななななんっ………!!」
妹には、これに限る。いつも、家族の前では僕は謙虚すぎる。だから妹に対してたまにちょっと甘く攻めに転じることがある。そうすると顔を真っ赤にして、もごもごする。このときの義妹は可愛らしい。多分僕にはシスコンの気があるようだ。
「ほら、食べないのかな?」
催促して、軽くサンドイッチをつき出す。
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