第1章

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自分しか居ない喫茶店の中から空をみていた。 喫茶店の中で頼んでいたコーヒーを飲みつつ考える。 今日は雨だ… 僕は雨の降る日が好きだった。 ―孤独になれるから? いいや、違う。 ―独り静かにゆっくりと過ごせるから? 一理あるけど。僕が雨を好むのはサァサァと鳴り響く単調な音が好きなんだ。 自問自答しても無駄だ。自分が孤独であるということを認めてしまっている。自分で自分の首を絞めている気がして、やめる。苦しくなる一方だからだ。 何分たっただろうか。考えるのも面倒だ。 思考を打ち切って何も考えずボーっとしてると、 かちゃ。 見るとそこには入れたてのコーヒー。横を見ると誰もいない。視線をもどすとこの喫茶の制服を着た一人の少女が前の席に本を読んで座っていた。 僕の視線に気が付くと柔らかく笑みを浮かべ、 「空を見るのは楽しいですか?」 それが彼女がかけた初めの言葉だ。
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