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ピンポーン
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エレベーターが到着したらしい。
軽やかなベルが響いて、エレベーターの扉が開く。
次の瞬間、俺の視界に飛び込んで来たのは、エレベーターに備え付けられた鏡に写し出された
…俺自身の姿だった。
召喚されてイケメンになってた!とか、髪が金髪になってた!……とか、俺ウマー(^q^)なチート能力が備わっている気配もない。
黄色のパーカーと、黒いゆるスウェット。
ゲームを徹夜でプレイしていたままの、姿。
顔も髪型も身長も、いつもと寸分違わない自分をぼんやりと見つめる。
違う
違う
違う。
……少なくともここは、ゲームなんかじゃない。
『ここはゲームの舞台を踏襲した、
似て非なるリアルな世界なのだ』と。
ようやく思い至ったのだ。
・・・・・
「ここが蒼井の部屋だな」
四階のエレベーターを降りて割と直ぐ。
鈍い金色で『404』と書かれたプレートの付いたドアの前に立っていた。
「……あ。到着っすか。
ナビゲートあざーした」
「…蒼井、どうした?
さっきからやけに静かだが、気分でも悪いのか?」
エレベーターに乗り込んでから思案に耽っていたせいか…堕天使様が心配そうに眉根を寄せる。
「あっいえいえ!
ちょっとお腹が空いて、脳内エンスト起こしたみたいですハハッ!!」
焦りのあまりネズミー口調になっちゃうけど、明るく答えるだけでイッパイイッパイな俺。
堕天使様に憂いを抱かせるとは打ち首モノですね!!
「……それなら良いが。
取りあえず制服に着替えて、朝食を摂るんだな。
始業式開始まではまだまだ余裕もある事だし、少し休んでから職員室に向かえ」
「……始業式?」
「は?編入して来たんだから、始業式には出るだろう普通」
ソーデスネッッ。
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