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小石から与えられる傷みにも根性で耐え続け、歩くこと15分。
ようやく門らしいモノが見えて来た。
べ、別に俺がドM属性とか…そんなんじゃないからねっ!
何言わせんだバーロー!!
「すみませーん!!!!
どなたかいらっしゃいませんかー!?」
豪胆なスケールさとは正反対の、繊細なレリーフに彩られた門扉はピタリと閉じられていたため、ひとまず俺は声の限り叫んでみることにした。
俺の声を聴けえぇぇぇ…!!!!
えぇぇぇ…!!!
えぇ…
……
「…すみま「…誰?」
一人盛り上がってた事に今更恥ずかしくなった俺が、ヤケクソ気味でもう一度声を掛けようとした瞬間、扉の向こうから男の声が返ってきた。
低音なのによく通るとか…
声優ヲタな俺でも驚く程、イイ声だなおい。
恐らく、5年に一人の逸材レベルのイケボだ(適当)
「あ…えっと…
道に迷ってしまって。
いくつかお聞きしたい事があるんです」
「……名前を聞いても良いか?」
「え!?
あ、はい……蒼井遥杞、です」
「……少し、待て」
重厚な扉の向こうから、微かに紙をめくる音が聞こえてくる。
ややあって…
運命の扉は―――開かれた。
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