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ギィ… 「蒼井遥杞、歓迎する。 ようこそ……常磐学園へ」 思いもよらぬ言葉と共に、門扉は開かれた。 「……は?かんげい??」 かんげい…完全なるゲイって事? いやいやいや、俺めっちゃノンケだし。 予想外の言葉すぎて、思考が追い付かない。 爪先立ちのまま硬直する俺の目に飛び込んで来たのは… 既視感ありまくりの、でも実際には見慣れない風景だった。 「しかも、常磐学園って……」 聞き慣れたその単語。 見慣れた建造物。 それらは全て朝方まで俺が親しんでいたモノだ。 ただし……モニター越しの画面でだけどな。 「……はぁ? 」 眼鏡を外した○び太君よろしく、目が点になるしかない。 あぁ、の○太君は『εε』←こんなんだったっけ… 「……蒼井、どうした?」 「え?……ふぁい?」 ぼんやりと考え込んでしまった俺が余程おかしかったのか… 怪訝そうに名前を呼ばれる。 日本語にならない返事をしながら、呼び掛けてきたイケボへと視線を戻すと そこには、黒い腕章を着けた……背の高い男が立っていた。 「俺は常磐学園で風紀委員長をしている、3年の賀茂川 要(カモガワ カナメ)だ。 …改めて、編入おめでとう」 そう言って。 艶やかな黒髪で隠れていない方の、黒曜石みたいな左目を少しだけ細めて笑ったイケメソもまた。 俺にとって、見覚えのあり過ぎる男だったのだ。
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