予言の始まり

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だがそれはあくまで通常の団員ならば耐えきれないという話であり親衛隊であるこの男はそれができた。 だがこの時自身にかけていた部分強化の魔法の数は異常でありいつ魔力切れによって体力が尽きて動けなくなるかわからない状態だった。 正直今も維持し続けながら移動していること自体奇跡である。 男は戦い以外には興味がない人物であったが前に偶然読んだ魔導書に書かれていた「人間における魔力が限界まで高まるのは感情が極限まで高められた時である。」の一説を思い出していた。 書物などの類いは信じていなかったがこの瞬間だけはこの一説の状態によって維持できていることを信じていたかった。 自身の限界を越えた力を使えている。 男はそれを実感していた。 だが皮肉にも限界を越えた力を逃げるために使っている。 そのことに男は苛立ちを感じ始めた。 「この力をあの時騎士団が…親衛隊が使えていれば…勝てるはずだったのでは?」 逃げる男の脳裏にその言葉が浮かんだがすぐに消えた。
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