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「え、味方だよ?逆になんでこの状況を見て敵だと考えているの?私思うんだけどさ‥さっきから皆殺しにするとかちょっと疑り深いんじゃないのかなぁ。あ、ひょっとして私が人格破綻者や二重人格者とか考えているわけ?大丈夫大丈夫!この通り正常だから安心してよね!」
投げつけられた質問に対して笑いながら柔らかい物腰で挑発する。
「てめぇ!ふざけ「で、次の質問の答えね。」無視すんな!」
質問から逸らすような言い方に苛立つ男の言葉を遮るようにマントの人物は話し始めた。どうやら質問には答えるようである。
「目的はとりあえず破滅の予言の阻止。それくらいしか言えないかな。まぁ、どうせ最低限のこと以外忘れちゃうから言っても無駄なんだけどね。これで満足かな?満足じゃなくてもこれ以上は答えられないから我慢してよね。それではこれにてさようなら~。」
一方的に語ると目の前の人物は茶色の布をなびかせながら人々に背を向けて立ち去ろうとする。
素性など謎な部分はあるものの人々は人物が味方だと分かり、そして予言を退けた事実に安堵した後盛大に喜んだ。
「‥‥まぁ、どうせもう関わらねぇし生きていればそれだけでいいか。」
質問した男も納得がいかなかったがすぐに諦めて破滅の予言が阻止された目の前の現実に素直に喜ぶことにした。
だが立ち去ろうとした人物は足を止めて振り返り喜んでいる人々に再び呼びかける。
「あ、言い忘れていたよ。一応味方って言ったけどね。必ずしも君たちを殺さないとは限らないから。私が出て行くまで誰も町から出ないこと。これだけは絶対守ってよね。守らないとちょっと不本意だけど直接手を下さないといけないからさ。まぁ、アレを見たら破る気すら起きないと思うけどさ。一応これは警告だからしっかり頼むよ~!」
先程と変わらない気の抜けた口調で言いながら横に転がっている切り裂かれた予言の遣いを指さす。
「分かった‥‥破らねぇから、さっさと立ち去ってくれ。」
そう言った先程質問した男も予言の遣いとの戦闘を見ていたため声と体が震えていた。
男だけではない。
先程まで町全体に響いていた人々の歓喜の叫びも一気に消え失せ、人々もみな恐怖で震えていた。
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