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クラード大陸の荒野に佇む町は幾つかあるが1つだけ知名度が高い町がある。
その名をガラマという。
町中の建物は通気性に優れた石造りが主流で特に中央部は名物のオアシスや闘技場、噴水、グラード軍の駐屯地などの催し物や重要拠点が密集している区域である。
その中でも特に闘技場は毎年3大陸の猛者達が集まり最強を決める大会が盛大に行われることで有名であり故にガラマは主に闘士の町と呼ばれている。
この大会が開催される時には猛者以外にも3大陸の有名店や名物料理店などが出張出店しており、闘技場の大会目当ての人々だけではなく、ガラマに集まる各大陸の料理が目当てでガラマに向かう人々も少なくない。
だが、過酷な荒野にある町であるが故に到着するまでの障害が多く闘技場の大会以外は人が余り寄らない場所でもある。
ましてや護衛なしで1人で目指す物好きなんて滅多に存在しない。
‥例外でとある理由からある一部の人間が移住してくることが多い町であることは一般的には知られていないので伏せておく。
だがそんなガラマの石造りの入り口に珍しく人が伏せた状態で倒れていた。
大きな布を纏っていたが大柄な体格の持ち主であることは明らかだ。
というか倒れているのが俺です。
実はなんとかガラマに着いたものの入り口に入った途端に荒野から脱出できた安心感からか急に全ての疲労が押し寄せてきたわけで‥‥そのまま倒れて今の状態に至ります。
もう正直指一本すら動かないのよね。
でも身体は動かせずとも口はなんとか話せる程度は動かせるのが救いかな。
話ができないと相手に要求や目的が言えないからね。
間違って死体と思われて荒野にポイされる危機は避けれるってわけだ。
「おぉい、大丈夫かぁ?」
とか言っているうちに老人が倒れている俺に寄ってきて声をかけてきた。
聞こえてきた老人の声はしわがれた弱々しいものではなく少し強みを帯びている感じでまだ衰えているような印象は見受けられない。
全盛期は兵士だったのだろうか?
ってか今更だけど本当に声の主は老人だよね?
こっちに来るまでの足音や歩幅で判断したけどちょっと心配になってきたよ、マジで。
どのみち地面とキスしたままの状態で動けなくなった情けない姿の今の俺には確認する術はない。
だってほら、視界には地面しか映ってないしさ。
逆に聞くけどさどうやって確認すればいいんだよ?無理じゃね?
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