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まぁ…でもさ。
こっちは助けられた身だし、なによりこの老人のおかげで助かったことは事実だからこの際仕方ないな。
老人に背負われている時点で既に情けないとは思うが本当に動けないのだからしょうがない。
…少し静かに街でも見てみるか。
俺は老人の背中にもたれながら周囲の景色を眺め始めた。
ガラマ自体には5年前の大会の時に来ているが景色は相変わらず何一つ変わってはいない。
街中には通気性を優先した石造りの建物が並び、外には売り物屋のテントが設置されている。
そして遠くにはこの街のシンボルである中央部にある高い闘技場が堂々と佇んでいた。
暇潰し程度に自分の記憶にある5年前の景色と比較して違いがないか探すがやっぱり何一つ変わらない。
だが何一つ変わらない街並みに大きな違和感を感じた。
いやそれはもはや違和感とは言えなくなっていた。
自身は既に何回も見ている当たり前の光景なのだから。
(…やはり情報通りか。するとヤツはここにいるに違いないな。)
景色を見て考えていると
「おぉい!ワシの家に着いたぞぉ!はよ、降りんかい!」
老人の強みを帯びた声が耳に響いてきた。
どうやら目的地に着いたらしい。
ってか正直近すぎて耳が痛いわ!
あと唾飛ばすな!
老人の話し声をうるさく感じながらも俺は目の前にある建物に目を向けた。
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