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「…一体何やっとるんじゃ?」
萎んだ革袋を漁る俺を可哀想なものを見るような目で見ながらジジィが俺に声をかけてきた。
確かに可哀想なものを見るような目で見るのは仕方ねぇよなぁ…。
だって側から見れば空袋を漁っている悲しい奴にしか見えないからね。
うん、大丈夫。もう慣れたからさ。
…本当だよ?な、泣いてなんかいないんだからねっ!
そんなことを考えながら革袋を漁っていると手に金属特有のひんやりした冷たさを感じる。
「…あった。これこれ。」
革袋から取り出したのは何の変哲もない金属の棒で太さ1cm、長さ10cmといった所だろう。
そして俺は取り出した金属の棒の先端をつまんで引っ張り出した。
スルスルと細い金属の棒が中からドンドン伸びて長さは30cmになる。
さて、今から魔法を発動する前に俺と魔法について説明しよう。
まず俺は街の入口で死にかけていたが実は状態によっては誰の手も借りず自力で助かることができていた。
どういうことかと言うと今から説明する魔法の発動形式が深く関係するのだ。
基本的に魔法とは空気中に漂う「魔素」という物質を取り込んで体内にある魔力器官で魔力に変換し蓄積してから詠唱などによって蓄積した魔力を魔法として発動する工程で成り立っている。
一般的に魔力が高いなどと呼ばれている人間は通常の人間よりも魔素の取り込む量やスピード、魔素を魔力に変換する量、スピードなどの魔素から魔力を生み出すまで工程に関わる要因やこれらのサイクルが異様に早い。
そして魔素から魔力を生成する際に生じる魔力器官に残った魔力の成り損ない通称残留魔力から強い魔力を生成する才能を持っていることが更に魔力の高さに貢献しているのだ。
残留魔力の才能はともかく魔素から魔力を生成する工程のサイクルは訓練次第でいくらでも早くすることが可能であり、それなりに魔力を高めることはできる。だが残留魔力の才能は生まれつきのものであり、才能の有無の影響は大きいと言えるだろう。
まぁ、ここまで話した内容からとりあえず魔法は魔素を体内に取り込み、魔力に変換してから詠唱などによって発動することは分かるだろう。
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