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さて、ここまでの話で魔法の発動形式には
「詠唱」「陣詠唱」「無詠唱」
の3種類の形式があるのが分かったよな?
で、俺には先程述べた通り詠唱すらできなければ残留魔力の才能すらこれっぽっちもない。
つまり俺にできる発動形式は「陣詠唱」だけになるわけだが…
無論陣詠唱には事前に用意する以外にはその場で発動したい魔法の術式を描く必要がある。
だが、入口に着いた俺は満身喪失状態で指すら動かせず地面にキスしたままの無様な状態だった。
もう分かるだろう。
あの時は満足に術式を描ける状態ではなかったんだよ。
ある程度…特に上半身が動ければ陣詠唱で回復魔法を使って自由に散策できていたのだがな。
まあ、事前準備が甘かったのが原因でもあるけど。
最初から回復魔法の術式を描いた媒体を用意すればよかったとつくづく思ったしな。
…さて、説明はこれで終わりだ。
今から陣詠唱による回復魔法を発動する。
俺は伸ばした金属の棒を砂地の地面に軽く置いて、スラスラと回復魔法の術式を描き始める。
何度も世話になっている魔法のため術式の形は既にインプット済みだ。
金属の棒が砂地の地面を削り術式に必要な様々な形の軌跡を描いていく。
術式の効果内容を司る古代文字にそれを囲む曲線、 更に曲線を装飾しているかのような幾何学模様。
それを2重に重ねた術式を俺を中心に地面に描いていく。
正直ジジィの回復魔法が微妙なため描いている最中に腰や肩が何度も痛むが描き続ける。
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