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「ふぅ…できたぁ…。」
痛みに耐えながらも描き続けること1分30秒。
俺の周囲にできたのは俺を中心とした半径50cmの円に古代文字や曲線、幾何学模様が刻まれた魔法陣だ。
見下ろしていたジジィも徐々に形になっていく術式を見ていたらしく完成した魔法陣に驚いていた。
そして完成した魔法陣をまじまじと眺めて話しかけてくる。
「おまえさん…陣詠唱師だったのか。しかし、負傷していたのに関わらずよくそんな早く術式を描けるのう…。」
「まぁな…。常に誰かあてにできる人物がいるわけじゃねぇしな。自身のことは自身でできるように一応訓練はしているつもりだ。さて…そろそろ魔力を術式に注ぐか。…そらよっと!」
ジジィに返答すると同時に俺は描き上げた魔法陣に手をつけて自身の体内にある魔力を送り込んだ。
発動に必要な魔力が術式に注がれると地面に描かれた魔法陣が回復魔法特有の緑色の光を放つ。
そして放たれた緑色の光は魔法陣の中心にいる俺に集まり輝き始める。
少しして輝きが消えると同時に光を放っていた魔法陣も消えた。
魔法発動終了のサインである魔法陣の消失を確認すると俺の体の疲労や痛みは全て抜けて立ち上がれるようになる。
「…よし。これで大丈夫だな。待たせたな!さぁ、あんたの家に行こう…「グゥ~~!」か。」
‥俺の腹の音がなりますた。
あ~、そういえば言い忘れていたが回復魔法で回復するのは肉体の疲労や痛みだけなんだわ。
つまり喉の渇きや空腹はどうにもならないわけ。
「すいませんが‥中で水と食べ物をあなたの家で頂けないでしょうか‥?」
あまりの喉の渇きと空腹のため思わず丁寧口調で懇願する。
だって、本当にヤバいんだもん!
お腹と背中の皮がくっつくどころか融合するレベルだし!
頼むからいいって言ってくれ!
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