予言の始まり

2/14
前へ
/69ページ
次へ
ある国が戦火の炎に包まれていた。 その国の自慢でもある優雅であり人々の活気な声で溢れていた街並みは戦火の炎と逃げ惑う人々の悲鳴や断絶魔が支配しており、正にこの世の地獄と化していた。 「人間同士の戦争は数年前に終わったはずのになぜ?」 地獄と化した街を逃げ惑う人々やこの現状を理解できていない人々はこの惨状の中皆そう考えていた。 だが、理解が追いつかない人々を他所に次々と人の命が失われていく。 国の軍隊も既に機能を失っており街の人々に残された選択肢は逃げることしかなかった。 自分の命を守るために逃げる。 親しかった者や子供、年寄りを蹴落とし、生き残るために逃げる。 この行為は至極当たり前であり、誰も責めることはできないだろう。 どんなに綺麗事を並べても所詮誰もが自分の命が一番なのだから。 もしその中で全ての人々に手を差しのべる者がいたとしたらその人はある意味人間とは言えないだろう。 母親に見捨てられたことを知らずに母親の名を叫びながら泣き続ける子供。 逃げゆく人々に踏み潰されて命を落とした男。 身内に見捨てられ歩くことすら出来ずただ死を待つしかない老人。 後ろから来た屈強な男に殴り殺された女性。 それほど人々の醜い姿をさらけ出したこの国の現状は悲惨なものだった。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加