予言の始まり

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騎士団の団員は常に魔物の討伐を訓練としているため攻撃の手応えから大抵の魔物なら後だいたいどの程度で魔物を仕留められるかが把握できるようになっている。 更に強者揃いの親衛隊なら通常の団員よりも高いレベルで見るだけでそれらの情報を瞬時に全て把握できるようになっているという。 それほどガルディアの騎士団は洗練された軍隊なのだ。 しかし、この闇だけはそれらが全く把握できなかった。 いくら斬ろうが魔法を喰らわせようが全く底が…この闇の終わりが見えないのだ。 更に把握をしたのが通常の団員ではなく親衛隊のそれも隊長格の騎士でありその事実は騎士団を恐怖させるには充分過ぎた。 襲い来る闇を把握するために迎撃した隊長格の騎士は闇に為す術もなく頭部を喰われ大地に血の湖を作りその命を散らした。 そしてこの男はその命が散る瞬間を間のあたりにしたのだ。 親衛隊の騎士が…それも自分よりも実力が上の名の馳せた猛者である隊長格の騎士の無惨な死に男は恐怖した。 死に直面した騎士の断絶魔、頭部をまるで果物のように喰われた瞬間。 その一つ一つの光景が男の脳裏に刻まれた。 忘れたい。 いや、忘れろ。 忘れろ。 忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ! 男は脳裏に刻まれた恐怖の記憶を掻き消すかのように叫び続けた。 だが、一度刻まれた恐怖の記憶が消えることはなく脳裏には絶命した騎士の断絶魔が響き続ける。 恐怖の記憶を掻き消す行為をしたのは他の騎士も同じで予言前の高い士気は見る影もなくなっていた。
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