理想と現実

一人目

......鳴り響く騒音。

このなれた風景で一人とぼとぼとと歩いてる青年が慣れた手つきで改札を出ると駅に止まった電車に乗り込んだ。

揺れる電車の中、二人組の学生の話し声が耳に入ってきた。

｢ねぇ、ねぇ片想い中のの人と進展あった？｣

一人の学生が質問すると。

｢うーん。どうも上手くいかないんだよね何話していいか分かんないし。｣

片方の学生は、頭抱えた様子で悩みこんでいた。

｢早くしないと誰かに取られちゃうよ？あんなにカッコ良くて頭いい人なんて滅多にいないんだからさ｣

呆れたようにもう一度問いただしてみると。

｢そうだよね、私頑張ってみるよ、そこまで出来る人ならきっと優しい人だよね｣

話はここまでしか聞こえなかったが葵は頭の中でボヤいていた。

｢そんな理想な人間いるわけがない。｣

と静かに電車を降りた。