1541人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
今日すべての撮影が
不可能になったとして、
他の日にやり直しましょう
というのは無理がある。
一瞬青ざめた顔をしたものの、
九鬼さんの反応が
この部屋の中で一番早かった。
「……判りました。
ちょっと、私の方で
知り合いに当たってみます」
九鬼さんはあたしに
「申し訳ない」と会釈して、
携帯を手に部屋を出ていった。
自分は何をしたらいいだろう、
と頭をぐるぐるさせていると、
拓海さんは眉根を寄せたまま
腕組みをする。
「……カズヤに任せておけ」
「え?」
「あいつの顔の広さは半端ないからな。
和泉朱里の男は劇団持ってるし、
そこから当たるんじゃないか」
「……あ」
.
最初のコメントを投稿しよう!