俺達の騎馬戦伝説

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再び法螺貝が鳴る。 太鼓の音が響く。 いざ!! 青赤入り乱れての、団体戦の開幕だ。 団体戦では、1騎になると狙われやすいため、 大抵3騎程度で小隊を組んで行動する。 競技が開始されてもしばらくは、3騎くらいで固まって、ぐるぐると移動しながらお互いの出方を探っているのが常だ。 俺達大将騎は、副将・参謀の4騎にきっちり周囲を守られて、 陣地の少し手前に進み出ていた。 護衛の壁が高くて、馬の俺達には戦況がほとんど見えないが、 青組の相撲部大将騎も、俺達と同様の陣形と位置取りらしい。 「……今年は遊撃組の展開が早いのぅ」 山下先輩がポツリと呟いた。 グラウンドの端のほうのあちこちでは、青組の単独騎に、赤組2・3騎が群がり、早くも戦闘が開始されているようだ。 「単独行動の青が多すぎんか?」 馬の斎藤先輩が返す。 味方の単独騎が赤組に囲まれているらしいのに、 青組の小隊が、助ける素振りもなく悠々と移動し、ちらちらとこちらを窺っているのは、 俺からも見える。 不意に青組大将の野太い声が響いた。 「囲めーっ!!」 ざーっと、風が動いた。 「……そういう魂胆か」 「山下先輩? 見えんのじゃけど、どうなっちょるんすか?」 沖田が尋ねた。 「大将に訊け」 どこか高揚した山下先輩の声が聞こえる。 「林、見えるか?」 俺が尋ねると、林は声を震わせた。 「囲まれた……20騎くらいに、ぎっしり」 「ええっ!!」 「どうやら、単独騎を囮にしてウチの遊撃部隊をみなグラウンドの端におびき出しちょってから、 五将だけが残ったとこを囲む作戦じゃ。 ハナから団体戦で大将を獲って、早々にカタをつけるつもりらしいで!」 山下先輩が、これ以上はないくらいに嬉々とした声で話す。 「寄って来る!……包囲網がどんどん狭うなりよる……!!」 林の声は、完全にビビっている。 「さあて、どうする大将」 山下先輩が、林を振り返って、ニヤリと笑った。 大将を護衛する副将参謀の4騎が、いかに強いと言っても、20対4はあまりにも多勢に無勢だ。 迷っている間に、どんどん包囲網は狭くなる。 隆が、声を上げた。 「林!! お前のせにゃならんことは何か!! 外で、大将の窮地を知らんまんま闘いよる仲間を呼び戻して、 青の20騎を蹴散らせる陣形を作り直すことじゃろ!? 呼べ!! 号令じゃ!!」 「はは! ええ馬持っちょるのぅ、タコ大将!」 「はいっ!!」
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