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「あかね?」
総ちゃんの声が真上で聞こえる。
「へ?」
あまりにもびっくりして間抜けな声しか出ない。
「あかね、それ、ひねっただろ、見せてみろ」
いつの間にそこにいたのだろう。いつもにない真面目な声であたしの横にしゃがみ込む。
「ちょっとひねっただけよ、鍛錬に戻って」
「ダメ」
総ちゃんがあたしの右足をそっと触る。
「った…」
「ほら、ダメでしょ」
そういうとヒョイとあたしを抱きかかえて軒先まで連れて行こうとする。
「大げさだって! 自分でできるから、道場に戻って!」
「だーめ」
総ちゃんは言い出したらなかなかきかない。
「総ちゃん、頼める?」
母さんの声がする。頼めるって、頼まないでしょ、そこは! って思ったけれど
「頼まれましたよ」
と、にっこり笑顔で応えてしまう。この笑顔もなかなか食わせ物で、他を有無と言わせぬ力を持っている。本人も自覚しているから、尚、質が悪い。
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