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がやがやとした通り道、あたしは一人の男と歩いていた。
「ここをまっすぐいくと、すぐ右手に見えてくると思いますよ」
「へえ、このあたり詳しいの?」
「まあ、家はすぐそこですから…」
あたしの視線の先には、あたしを凝視するむさくるしい輩が沢山。
「え、道場…のお嬢さん?」
「あ、いいえ、そういう訳ではないのですけれど…」
何て説明したらいいのか、いつも困る。
道場はあたしの家であって、あたしの家ではない。
あたしの父と母は江戸の道場の離れにある小さな小屋のような場所に住んでいる。当然あたしも。総ちゃんも一緒に父と母と住んでいる。
小屋と言ってもちょっとした家に近くて、4人で住んでいても全く困らない広さ。
そこで両親は道場に来るお弟子さんたちのご飯を用意したり、道場を掃除したりと住み込みで働いているのである。
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