***1861***

4/15
前へ
/170ページ
次へ
「ただいま…」 あたしが道場に入ると、みんな何かを訴えるようにあたしを見る。 「あかね、今のだれだ?」 ひときわ目鼻立ちのよい土方さんが切り出した。巷の評判は知らないけれど、あたしの兄だと主張して過保護なまでに心配をしてくれる、ぶっきらぼうだけど優しい人。 「知らない。買出しだそうよ? 味噌屋が知りたいって言うから、途中まで一緒に来たの」 「ふーん」 何か言いたげな目を隣にたたずむ背の高い男に視線を送る。 「だってよ、総司」 総司と言われた彼は、胴着を着たまま、あたしに視線を投げると 「んー」 とすっとぼけた声を出す。
/170ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加