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その後も有森省吾は日用品コーナー、食料品コーナーを回る私の後をついて来て、そして、
「あ、いいモン見っけ!」
そう言って奴が手にしたモノは、書籍・雑誌コーナーに立ててあった1冊の写真集だった。
『世界遺産』とか何とか書いてある、かなりぶ厚い豪華なカラー刷り。
「俺、好きなんですよね、こういうの」
そう言いながら私に見せる。
それはノルマンディの海に浮かぶモン・サン・ミシェルだった。
「知ってます?」
「話はね」
「俺、卒業旅行で行ったんですよ。こんなの興味ねぇやって思ってたんだけど友達に半ば無理矢理連れて行かれて。でも行って良かったな~」
――――友達、ね…。男じゃないわね?ま、ガールフレンドも日本語に訳せば女友達な訳だけど。
「ふぅん」
――――女の子と?なんて死んでも聞いてやるもんか。
「俺、これ買っちゃおう」
自分で払いますから、と言って私のカゴに入れる。
――――お、重い、この写真集。ずっしりくる…。何でこんなモノ…。
心の中で毒づいていると、「重いでしょ?」と、ひょいとカゴを取り上げた。
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