6 省吾と葵、第一歩

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* 省吾と葵、第一歩 * 翌、日曜日――。 2人で、海岸通りの輸入家具や雑貨を揃えているショッピングモールへ出かけた。   目的は、テラスのリクライニングチェアをもう1つ買う為に。 省吾が、「俺が座ると葵さんが座れないから」って。 ちょうど今、うちにあるのと同じ色のチェアがあって、2人ともひと目見て気に入った。 「当然、俺が買います」って、何が当然なのか解らないけど、持ちやすいように紐をかけてもらって、すぐに帰るのかと思ったらあっちこっちウロウロ。 ――――こういうのって女性のほうが好きなはずなのにね。たいてい男の人は荷物持ちと決まっていて、手持無沙汰にどっかで待ってたりする事が多いのに、省吾ってば、ほんと嬉しそう。 輸入食器売り場で立ち止まった省吾が、「これ、買っていいですか?」と言った。 ブルーベリー色の青と、向日葵色の黄色と、オリーブ色の緑で色付けされたマグカップと、ベーコンエッグを乗せるのにちょうどいい大きさの皿を、2人分ずつ手に持ってニコニコ笑ってる。 ――――朝ご飯食べさせろ、って事ね。はいはい、解りました。 「ついでにこれも」とランチョンマットとフォークセットも2人分チョイス。 ――――何でそんなに嬉しそうな訳?ほんともう…、こっちまで顔がほころんでくるじゃない。
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