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そして朝――。
いつもより1時間早く出社した。
意味は無い。
会議がある訳でも雑務が待っている訳でも無い。
要するに眠れなかっただけ。
目を閉じると眠りの世界に引き込まれていくのに、波の音が聞こえてきて奴の顔がチラつくのだ。
それを払い、寝返りをうつ。
また払い、寝返りをうつ。
そういう動作を繰り返しているうちに空が白んでいた。
自慢の寝つきの良さはどこへやら。
いつもより濃い目のコーヒーとトーストとハムエッグで朝食を済ませるとシャワーを浴び、洗濯と、テラスの花の水遣りをして、それでも時間を持て余し、たまには朝の散歩もいいだろうと、そんな気持ちで出て来たのだった。
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