1 出逢いの章

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そして朝――。 いつもより1時間早く出社した。 意味は無い。 会議がある訳でも雑務が待っている訳でも無い。 要するに眠れなかっただけ。 目を閉じると眠りの世界に引き込まれていくのに、波の音が聞こえてきて奴の顔がチラつくのだ。 それを払い、寝返りをうつ。 また払い、寝返りをうつ。 そういう動作を繰り返しているうちに空が白んでいた。 自慢の寝つきの良さはどこへやら。 いつもより濃い目のコーヒーとトーストとハムエッグで朝食を済ませるとシャワーを浴び、洗濯と、テラスの花の水遣りをして、それでも時間を持て余し、たまには朝の散歩もいいだろうと、そんな気持ちで出て来たのだった。
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