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帰りに立ち寄ったコンビニでカオリちゃんに捕まった。
たまたま客が私1人だったので、店員と客、というよりも、『ハンター』と『獲物』状態で捕獲されたのだ。
「カッコ良い人ですね~。葵さんの彼氏じゃなかったら、私、ぜ~ったい一目惚れしてますよ~。っていうか、すでに一目惚れなんですけど~」
「え?」
「大丈夫ですって~。一目惚れは一目惚れだけど、人様の彼氏には近寄りません!」
「あ、いえ。近寄ってもいいのよ?」
「はい?」
「だって、彼氏じゃないもの」
「え~!またそんな事言ってぇ~」
「ほんとよ。ただの会社の後輩。たまたま会ったからついでに送ってくれただけ」
「ふ~ん?そっかな~?今どきの高校生をナメちゃ駄目ですよ~?」
「へ?ちょ、ちょっと何言ってんの?カオリちゃん?ねぇ聞こえてる?」
何やらブツブツと、そしてニヤニヤと、カオリちゃんがレジへ戻って行く。
――――聞いてないのね、私の話…。
その証拠にレジでのお会計中、あの時一緒に居たもう1人のバイトの女の子が、
「背が高くて優しくて、おまけにあの顔!居るんですね~。三拍子揃っちゃってますよね~」と言った時、
「でしょ~。いいでしょ~。もう1人居ないかな~。葵さん!あの人、兄弟居ます?居たら連れて来てくださいよ~!」
そう言って瞳を輝かせたのだ。
若い彼女達の興味アンテナは、日々、目まぐるしく変わる。
だから、一度顔を見せただけの奴の事などすぐに過去になってしまうはず…。
ま、あまり否定して、ますます話が大きくなるのも嫌だし、今日のところはこれで、という経緯があった訳。
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