1 出逢いの章

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私より1つ年上のその男は話術に長け、つまり話題が豊富で、それを面白おかしく伝える術を持ち、人の関心を惹く事が巧かった。 それでも『ナンパ』の形になる訳だし、まぁ、一般的に見て『イケメン』の部類には入るかなと思ったけれども『一目で恋に落ちた』というでも無かったので、楽しく話をしてその日は別れた。 ところがその3日後――。 再び営業帰りに寄ったこの店で男に再会。 そして、そのまた3日後――、そのまた1週間後――、というふうに偶然にも度々出会う事になった。 しかし私が1人で立ち寄るのはここしか無く、また1人で来ようと思うのは営業回りが成功した時だけだったので、もしも向こうが常連客だったとしたら、私との出会いは偶然というよりも、むしろ必然に近かったのかもしれないけど。
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