序章

3/6
前へ
/24ページ
次へ
 「警部、警部補。月香只今戻りましたであります! ですがこのチョコは誰にあげるおつもりなんでありますか?」  ぐる朔チョコを一口食べながら警部と警部補に訊ねてみる。 ぐるっとした口溶けのチョコが口の中で広がると、サクッとした食感のナッツが楽しめて美味しい。  「宜しい。まぁ普段色々とお世話…してる男性二人にたまにはあげても良いかな…と朔ちゃんが言うから」  ふむふむ。若手の男性刑事にあげる積もりだったのか。 でも男性刑事にあげちゃうと彼らはきっと誤解するよ。ぐる朔は僕らの事が……以下略。  「優しさプリーズって奴」  「警部補。失礼ですがプリーズはお願いしますとか~して下さいの意味になりますが」  「『どうぞ』の意味でもあるんだけど、どうかな?」  「美味し過ぎです。そう言えばその若手刑事てどんな人です?」  そうそう。新米刑事がイケメンかGメンかカップ麺か情報を得とかないとね。 新人君。警視庁捜査一課久留米班は厳しいぞ。かず子さんの体力トレにかず美さんの運転講習に警部補の柔術指南、はては七味ちゃんの激辛実習に、  私の蛞太郎が待っている。  「新米刑事だなんて一言も言ってないけど、どうして判ったの?」  警部が不思議そうな顔をして私に訊ねた。  「や、普段世話をする男性と聞いたから……」  「民間人よ民間人。推理作家とカメラマンの男性だけど」  「そ、うちと同じ広島弁使うオッサンと、眼鏡紳士のあんちゃんよね、見たら判るわ」  広島弁と眼鏡か…。  七味ちゃんが二人になると、恐らくこうなるのかな?  『我ら何処の組のもんならいや。ゆうてみいやゴルァ。タマとったんどぉ』  『おどりゃあもっぺんゆうてみい。カバチもたいがいにせぇよ』  『こんにゃあいっぺんシゴかにゃあいけんじゅろーて』  『朝日ソーラーじゃけ、のいや』  『誠意ってナニカネ…』  『おどりゃー』  『すどりゃー』
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加