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「とーちゃーくっ!」
烏野高校排球部は、練習試合を兼ねた合宿のため、遠征に来ていた。武田先生が運転するバスから降りたメンバーは、小さな旅館の前で整列した。
「つーわけで、今日からここで合宿だ! 3泊4日、みっちり練習すんぞ!」
烏養監督は、頭を掻きながらかすれた声を張って言った。
「はいっ!」
「それじゃあ、部屋割り発表してくれ、澤村」
キャプテンの澤村が、ジャージのポケットから四つ折りの紙を取り出して、広げる。
「はい! まず、1号室が俺、旭、山口!」
「げっ」
「げっ、ってなんだ、旭」
「いえ、何でもないです…」
「次、2号室が縁下、木下、成田」
(あーなんか、モブキャラでまとめられたなぁ…)
「縁下、室長として宜しくな!」
「は、はいっ!」
澤村の満面の笑みに、縁下は元気よく答えた。
「そして、3号室がスガ、西谷、日向!」
「やったー、ノヤっさんと一緒だーっ!」
日向がその場で飛び跳ねて喜んだ。西谷もそれを見て、日向に飛び付いた。
「しょーよー!」
「スガ、二人の子守り、頼んだぞ」
「はーい」
「菅原さんも一緒だぁ! あっ、てことは、ノヤっさんがレシーブして、菅原さんがトスして、オレがスパイク…部屋でもバレーの練習、出来ますね!」
「日向、凄いな」
呆れ顔で言う菅原の背後で、少しだけ顔をしかめた澤村が念を押す。
「ちなみに、部屋の障子とか破ったら弁償だからな、日向」
「う…気をつけます」
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