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(ノヤっさん…元気ないなぁ。それにしても清子さん、なんだろう、このもやもやした気持ち。んぁー、バレーに集中出来ない!)
練習中、日向はさっきまでの西谷を気にしていた。いつもは無邪気に練習に没頭している日向が、今日は西谷のことで頭がいっぱいだった。
「おいおい、西谷、日向! ボールよく見ろ!」
「す、すみませんっ!」
(ぐわーってなんだ、この感じ。ノヤっさんのこと…)
「この日向ボケ! どこ見てやがる!」
影山が日向に指摘する。ドンピシャの影山のトスにも、バシッと決められない日向がいた。
「次、一年風呂だぞー」
「はーい」
脱衣所で、一年生の四人が服を脱ぐ。
(風呂かぁ、ちょっと恥ずかしいな…)
日向が少しだけ躊躇っていると、横で服を脱いでいた影山が、突っ込んだ。
「今日、全然出来てなかったじゃねーか」
「うるさいなぁ、さっき謝っただろ」
そう言って影山の方を見る日向。そして全裸になった影山に驚いて、言った。
「お、おいっ影山!」
「なんだよ」
「タオルとかで、隠さないのかよ?」
「は?」
「見えてるぞ、だって。恥ずかしくないのかっ?」
「別に男同士だし。中学の時からそうだったから、恥ずかしくはねーよ」
(さすが大王様…いろんな意味ででっけー)
日向が感心していると、横からタオルを巻いた月島が割り込んだ。後ろには照れながら山口もいる。
「そんな汚いもの、見せないでくれる?」
「月島てめぇ! お前こそ、タオルなんて巻いて見せれないものつけてんのか?」
「は? これはマナーですけど。しかもそれを言うなら山口の方が…」
「ちょ、ツッキー! それは言わないでよ」
「ふふ。でも、きっとチビちゃんの方が恥ずかしくて見せられないんじゃない?」
三人の目線が、日向に集まる。日向はまだパンツ姿だったが、月島の言葉に日向は震えていた。
「月島…オ、オレだって…」
(くそーっ、クソ月島。悩んでることズバズバ言ってきやがって)
すると山口が、空気を断ち切るように言った。
「ツッキーも影山も、べ、別に良いじゃん、そんなこと」
「山口、うるさい」
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