第1章

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「くそにぃぃとおおおおおお!!」 遠くから聞こえてきたその声に本の世界から本を閉じたように現実に引き戻される。 さっき読み終わった本の余韻に彼は浸らせてくれないようだ。 ため息をついて怒っている理由を一つ、二つ、と探す。 うーん、特に今日はやってないけど。 可笑しいな。あ、僕じゃなくてあっちが可笑しいのかな。 バタン!! 静かな部屋に大きな音が現れた。 「お、まえ…またここにいやがって…はぁはぁ」 ふはっ あの長い廊下と螺旋階段を走って息切れしてるし 焦らなくても僕はここにいるのに 少し口角が上がってしまう 「帰ってたんだ。おかえり」 桜の花びらを外にそっと戻して視線を横にずらせば、ほら 「おかえりじゃねぇクソニート」 猿が帰って来た。
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