一番

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 「皆さん、今日もライブに来てくれて有り難うございまーす!」  虹色フォーチュン7センターの桃ぴょんが客席に向かって深々とお辞儀をすると、  「もう、もう少し明るく挨拶しなさいよ地味ぴょん」  ミーたんがマイクで横やりを入れると耳に手を当てて「皆さん楽しんでますかー?」と客席に訊ねる。  客席からは割れんばかりの歓声が沸き起こる。というか殆どが僕と年が一回り離れた学生なんだけど、  「今日はバレンタインデーと言う事で、ファンミーティングと皆さんに重大な発表がありますので最後まで楽しんで下さいねー」  ファンミーティングかぁ。 虹色フォーチュン7がファンミーティングを開くのも楽しみだけど、重大発表も気になるな。  折角だから、  桃香さんと一緒に楽しみたいけど…。 愛葉桃香さん、この学園の生徒で、黒髪に眼鏡と真面目な印象のある子だけど、たまにそそかっしい所があるのは微笑ましい子だった。 彼女はこの時間は確か部活動があると言っていたんだけど……今日は僕の為に開けてくれる。  筈だった…。  「バレンタイン☆ナイトの歌詞覚えた人、手を挙げて下さーい」  ミーたんが客席に質問を投げかけると、客席の男子生徒が一斉に挙手する。  僕も!  「1.2.3.4…」  「桃ぴょん真面目過ぎ。こんな沢山!これは迷っちゃうなぁ」  ミーたんは人差し指を額でコンコンしながら首を傾ける。  「じゃあ次、振り付け覚えた人、手を挙げて下さーい」  振り付け?  歌詞も振り付けも覚えてるよ。音痴だけど…。  「はい。桃ぴょん覚えてるよ」  一生懸命に僕も手を挙げる。  「うひゃあ。結構覚えて下さってるんですねぇ。一人に絞れないなぁ」  「実は3月のホライトディライブで抽選で一名を…ステージに招待しようと思います」  なる程、歌詞と振り付けを覚えた男子の中からステージ招待者を選ぶ訳か。
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