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「誰にしようかな…迷うから、センターのあんたが選んで桃ぴょん」
結局、桃ぴょんに選ばせちゃった。
「わ、わ、わ、私――?」
桃ぴょん、かなりソワソワしてるけど、観客の男子は僕だ俺だと桃ぴょんに指名を催促する。
「えと、あの、うんと…うーん」
謙虚に突き出した人差し指を宙にふらつかせながら、ステージ招待を選ぶ桃ぴょん。
その時だった。
桃ぴょんと目があった。
「……あ」
「――あ」
「……!」
「――!」
桃ぴょんは僕の目を見詰めた儘、ゆっくりと人差し指を僕の方に下ろす。
「じゃあ“土手川散歩”さんで」
まさか僕自身が指名されるとは思ってなかったけれど、寄りによって歌も踊りも音痴な僕で良いのかな?
客席からは、
「土手川で散歩って地味過ぎる」
「て言うか誰だよ」
なんて僕を野次る声が飛んでくるけれど。
「土手川散歩さん、ほのぼのとして良いお名前だと思います。そんな場所に虹をかけてみたいなぁ…なんて」
桃ぴょんは顔を赤らめながら、僕の事をぎこちなくもフォローしてくれた。
思わぬ所で目立ってしまったけれど、
「あの、どうして僕の名を?」
「何時も見ていますよ。一生懸命私達の事を応援してくれているの」
見てくれていたんだ。音痴だけど応援してくれているの――。
「それでは土手川さん。虹色フォーチュン7らしく散ちゃん、ホワイトディ、楽しみにしていますよ」
ホワイトディのライブで虹色フォーチュン7と一緒に踊る事になってしまった。振り付けとか歌詞とかしっかり練習しないといけないけれど、どうしよう。
「最後に重大発表でーす。皆さん、桃ぴょんにはモゴゴゴ…」
「ちょっと! いきなり過ぎるって」
重大発表をしようとするミーたんの口を桃ぴょんが慌て不為気ながら塞ぐ。
「桃ぴょんが恥ずかしいようなのでホワイトディに発表します」
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