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「あー……ごほん。副担任の紹介も終わったところで、気を取り直して」
ばつが悪そうにしていたルミ先生は、咳払い一つで切り替えたらしく、表情も真面目なモノに変化した。
そして名簿を教卓の上に広げ、再び言葉を発する。
「出欠の確認を取って、それから始業式に向かいたいと思います。名前を呼ばれたら大きな声で返事してねー」
「よっしゃああ! ギリギリセーフっ!」
ルミ先生が言い終わるのとほぼ同時、教室の前の扉が壊れるんじゃないかってくらいの勢いで開いて、次に大きな声が聞こえてきた。
扉のところには、肩で息をする女の子の姿が。
「……あれ? 私、間に合ってる……よね?」
「残念ながらアウトだ」
てっぺんにぴょこんとくせ毛のある藍色のショートヘアの女の子に、ディスト先生が無情にも現実を告げる。
すると藍色ショートの子はがっくりうなだれて、膝と手を床につける。
「そ、そんなぁぁっ! 初日から遅刻だなんて有り得ないっ……先生、どうか御慈悲をぉぉぉッ!」
「いいから早く空いている席に着け」
顔を上げ、必死な様子で嘆願していたけど、ディスト先生には通じなかったみたい。
ばっさり切り捨てられて、更にがっくりと首を落とした。
な、なんだかすごく変わった子だなぁ……クラス中からくすくすと笑い声が聞こえてくるよ。
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