邂逅ブロッサム

13/37
前へ
/443ページ
次へ
出欠確認が終わると、次は新学期の始業式。 始業式は各体育館で、初等科、中等科、高等科に分かれて、それぞれ執り行われるんだ。 毎年やってることだけど、改めてルミ先生から説明を受けた後、会場の体育館へ向かうことになる。 私たち中等科は、第二体育館だね。 「始業式の間は、席を立てなくなります。五分間休憩をとるから、トイレに行きたい人は今のうちに行ってきてねー」 説明を終えると、ルミ先生が最後に一言。 この言葉を聞いたクラスメイトのみんなは一斉に席を立って、ほとんどの生徒がトイレに向かっているようだった。 「ねぇ、フィア。私たちも行ってこようよ」 ちょいちょい、と袖を引っ張ったカレンの方へ目をやると、そんな風に切り出された。 「お、フィアもトイレかー? なら私も行くー! 実はさっきから少し催しちゃっててさー」 その反対側からはミヅキ。 恥ずかしがっているのか、それともそうでないのかよくわからないけど、あははと笑いながら喋りかけてくれた。 「ちょ、ちょっと……フィアは私と一緒に行くんだよ」 「えーと、確かカレンって言ったっけ? まあまあ細かいことは別にいいじゃんか! なー?」 ミヅキと目が合ったらしいカレンは、私の左腕をぎゅっと掴んで、自分の方へ抱き寄せた。 それに対して、ミヅキはへらへらと笑いながら、私の背中をぱしぱし叩いて同意を求めてくる。 「せっかくだし、三人で行こっか。ほら、早くしないとトイレ混んじゃうよ」 私は立ち上がると、カレンとミヅキ、二人の手を引いて歩き出した。 時間もあんまりないし、少し急がなきゃね。
/443ページ

最初のコメントを投稿しよう!

53人が本棚に入れています
本棚に追加