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出欠確認が終わると、次は新学期の始業式。
始業式は各体育館で、初等科、中等科、高等科に分かれて、それぞれ執り行われるんだ。
毎年やってることだけど、改めてルミ先生から説明を受けた後、会場の体育館へ向かうことになる。
私たち中等科は、第二体育館だね。
「始業式の間は、席を立てなくなります。五分間休憩をとるから、トイレに行きたい人は今のうちに行ってきてねー」
説明を終えると、ルミ先生が最後に一言。
この言葉を聞いたクラスメイトのみんなは一斉に席を立って、ほとんどの生徒がトイレに向かっているようだった。
「ねぇ、フィア。私たちも行ってこようよ」
ちょいちょい、と袖を引っ張ったカレンの方へ目をやると、そんな風に切り出された。
「お、フィアもトイレかー? なら私も行くー! 実はさっきから少し催しちゃっててさー」
その反対側からはミヅキ。
恥ずかしがっているのか、それともそうでないのかよくわからないけど、あははと笑いながら喋りかけてくれた。
「ちょ、ちょっと……フィアは私と一緒に行くんだよ」
「えーと、確かカレンって言ったっけ? まあまあ細かいことは別にいいじゃんか! なー?」
ミヅキと目が合ったらしいカレンは、私の左腕をぎゅっと掴んで、自分の方へ抱き寄せた。
それに対して、ミヅキはへらへらと笑いながら、私の背中をぱしぱし叩いて同意を求めてくる。
「せっかくだし、三人で行こっか。ほら、早くしないとトイレ混んじゃうよ」
私は立ち上がると、カレンとミヅキ、二人の手を引いて歩き出した。
時間もあんまりないし、少し急がなきゃね。
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