53人が本棚に入れています
本棚に追加
カレンと一緒に、すれ違う生徒や先生方に挨拶をしながら校舎を歩く。
新しいクラスを確かめるために、名簿の張り出される掲示板へ向かっているんだ。
中等科の校舎にも何度か来たことはあるし、迷うこともなく足取りも軽い。
「今年は、同じクラスになれるといいね」
と、隣を歩くカレンが微笑んだ。
私もそれに答えるように、満面のスマイルで!
「うんっ! 一緒に新しいお友達、たくさん作ろうねっ」
「えへへ……フィア、これからもずっと、ずっと一緒にいようね」
「当たり前だよ! お友達なんだもん!」
長く一緒にいたからか、私とカレンはお互いに気を許せる間柄。
離れちゃうなんて考えられないし、離れたくない。
自然と手を伸ばして、お互いの手と手を握っていた。
「ええっとぉ……私たちのクラスは」
掲示板の前には、たくさんの人だかりが出来ていて、少し出遅れた私たちは、後ろの方から懸命に名前を探す。
「あ、あった! フィアA組! あっ、私もだ! やったねフィア!」
「えへへ、同じクラスだね、私たち。改めてよろしくね、カレンっ!」
人混みの中と言うことも忘れて、抱き合って喜び合う私たち。
お友達と一緒になれたのはもちろんだけど、こんなにも喜んでくれてることが、私にとっては何よりも嬉しいな。
「さ、早く教室行こっか」
「うんっ! 隣に座ろうね、フィアっ」
仲良く手を繋ぎ、中等科一年A組の教室へと向かう。
その間、カレンの手の温かさを、ずっと右手に感じていたんだ。
最初のコメントを投稿しよう!