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なんだかユナに持ち上げられると恥ずかしくて、慌ててそれを否定する。
……ていうか久しぶりに会ったな、ユナと。半年振りくらい……かな?
「おいおい、ちょっと待て……お前、先生の知り合いなのかよ!? 先生のこと呼び捨てにして馴れ馴れしいし!」
少し強めの口調で、アカネ先輩が問い詰める。
その至極当然の疑問をはぐらかす理由なんてあるはずもなく、私はさらっと受け答えした。
「あ、はい。結構前からの知り合いですよー」
「この子、うちのお兄ちゃんとこの子でね。つまり姪っ子だから、親しげにしてもらってるんだよ」
「えええええッ!?」
ぽん、と私の肩に手を置きながら、みんなに私との関係性をカミングアウトするユナの言葉に、一番驚いていたのはやっぱりアカネ先輩。
まあ、私もびっくりだけどね。まさかこんなところにアカネ先輩との繋がりがあったなんて。
「てなわけで、そっちの子らは改めてよろしくね。フィアちゃんの叔母、ユナだよ。私は普段、一般向けに道場で武術を教えてるんだけど……ラルさんに頼まれて、魔法騎士団の特別門外講師として騎士団のみんなにしょっちゅう武術を教えてるんだ」
ユナって、朝の新聞配達のお仕事してるんじゃなかったっけ……いや、もしかしたら、道場と両立してるのかもしれない。
なんにせよ初耳だ……まして、魔法騎士団に武術を教えるなんて、それってとってもすごいことなんじゃ……。
「今日はアカネがユナさんに頼んで、特別にぼくたちもこの施設に同行させてもらってたんだ。普段は中々入れないからね、ユナさんには感謝してもしきれないよ」
「いいのいいの。こんなことでよければ、いくらでも力になるからさ」
コウキ先輩から経緯を聞くと、なるほど納得だ。
偶然にも私たちと日程が一致しただけであって……お互いにちゃんとした理由があって、この施設に訪問していたんだ。なにもやましいことなどあろうはずもない。
「え、ていうか……フィアが姪で……お兄ちゃん、ってことは、まさか……」
何かに気付いたのか、ミヅキは驚愕の表情を浮かべて体を小刻みに震わせている。
……このパターンは何度も見たことあるから、大体想像できるんだけど。
「ユナさんって、勇者シュウの妹……なのかっ!?」
「うん、まあ……そうなるね。変に目立ちたくないから、極力そのことは隠してるんだけど……」
ユナは肯定しつつも、少し困ったように視線をズラした。
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