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教室へ入ると、そこには既に十数名の生徒たちが各々自由な時間を過ごしていた。
席に着いて大人しく待っている子もいれば、早速色んな人たちに話しかけている子。
ここが、私たちのクラスになるんだ。
「フィアっ、あそこ、あの一番後ろの席に座ろうよ」
その場所を指差して、カレンは私の手をぐいぐい引っ張っていく。
そんなに焦ることないのにね。
「えへへ、これから一年、ずぅーっと隣で勉強できるんだよ、私たち」
一番後ろ窓際、私の左隣に腰を下ろしたカレンは、どこかうっとりしたような笑顔でそう言った。
笑顔を向けてくれることが嬉しくて、私も自然と笑みが零れる。
「そうだね。早くクラスのみんなとも仲良くなりたいし……ちょっと話し掛けにいってみない?」
そう、カレンの言うように、これから私たちは、ベジタブール魔法学園中等科一年A組として、同じ時間を共有する仲間になるんだ。
だったら、早くクラスのみんなと仲良くなった方が楽しく過ごせるに決まってる。
「……うん、わかった。一緒に、ね」
カレンは一瞬、固まり、表情が曇った。
けど、それもすぐに晴れやかな笑顔に変わる。
ちょっと人見知りしちゃうから、返事に戸惑っただけなんだよね。肯定してくれたのは、私の意を汲み取ってくれたから。
「心配しないで。大丈夫だよ! 私もついてる、きっとすぐにみんなとも仲良しになれるよ!」
元気いっぱい、弾ける笑みをカレンへ向けて励ましてあげる。
ほんの少しだけ安心したのか、カレンは力弱く微笑を浮かべた。
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