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「ふふふっ……あっはははは!」
私たちがヴィスタ師匠とスキンシップに励んでいると、頭上から腹を抱えたようなユナの笑い声が聞こえてきた。
「いいなぁヴィスタさん! そんなに弟子たちに好かれるなんて羨ましい限りだよ! この子たちと、とっても仲がいいんですねっ」
「はぁ!? べっつにそんなんじゃ……つーか笑ってねーで助けろ! あとお前らも! ちょっと褒めたくらいで調子に乗るなよ!?」
少し顔を上げて見てみると……ユナは、眩しいくらいに明るい満面の笑顔だった。
ヴィスタ師匠は、こんなつれないこと言ってるけど……本当に嫌なら、私たちなんて簡単に蹴散らされてるはずだもん。
ヴィスタ師匠がそれをしないってわかっててやってるんだから……私たちって、ちょっとだけ悪い子、なのかもね。
「むぅ……みんなずるいー。エアリも、ヴィーにぃにぎゅーってするのー」
「お、おいやめろエア……むぐっ!?」
とどめにエアリがヴィスタ師匠の顔の上に跨って、『ヴィスタ師匠の私たち全盛り』の完成だよ。
いやほんと、どういう状況だろうねコレ。
ぱっと見だと絶対誤解されそう。
「はあ……アタシらはこんな奴らに負けたのか?」
「ふふふ。みんな元気があって、とっても可愛いと思うわよー。なんなら、アーちゃんも混ざってくればいいじゃない」
そんな状況に呆れて溜め息を吐くアカネ先輩と、柔和に微笑むアオイ先輩。
「はっ、バカ言え。知らねー男の人にあんなことできるか、恥ずかしい」
「ツッコミどころそこなんだ……知ってる人なら混ざってたのかな?」
アオイ先輩のからかいを軽く流しつつ……くすくすと小さく笑うコウキ先輩の鋭い指摘が炸裂する。
「あっ、いや……もちろん知ってる人だろうがあん中には混じらねーけどな! アイツらとなんか馴れ合ってたまるもんか!」
「……多少なりとも認めてるクセに。素直じゃないやつね」
「てめーに言われたかねぇんだよユカリぃ!」
アカネ先輩は慌てて弁明するも、ユカリ先輩はどうやら、アカネ先輩の本心を見抜いているようだった。
尤も、それは先輩たち全員に言えることらしく、四人ともみんな、満開の笑顔の花を咲かせている。
……先輩たちも、すごく仲良しなんだな。
私たちと、同じように。
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