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先輩方を見送り終えると、私たちはとても晴れやかな気分に包まれていた。
お互いに全力を出し合い、気持ちの全てをぶつけ合い……前よりも少しだけ、お互いのことがわかったような気がしたからだ。
事実、さっきのアカネ先輩からは以前のような刺々しい雰囲気は感じなかった……これは、仲直りできたってことで間違いないよね?
「いやぁ……アカネ先輩も思ったよりいいヤツだったぜ。直接拳を交えた私が言うんだから間違いない!」
「あれほどあの赤毛を嫌っていたミヅキがそれを言うか……まあ確かに、言うだけあってなかなか手強かったが」
「そんな先輩たちに勝っちゃうんだから、みんなはすごいよね……私なんてまだまだ……」
「んー……エアリ、みんなのこと見てたけど、カレンもがんばってた。前より強くなってたからー……これからもーっと、強くなれるよー」
私たちは全力を出し切ってクタクタだけど、談笑に花咲かせることくらい、女子五人集まれば余裕だ。
なんだかすっきりさわやか気分。
先輩たちともいろいろあったけど、綺麗に一件落着できてよかったよ。
「おい、メスガキども……なにいい雰囲気で終わらそうとしてんだ? ああ?」
不意に聞こえたヴィスタ師匠の声に、ピリッとした緊張感が走る。
しまった、ヴィスタ師匠のこと忘れてた……勝手なことして怒ってるはず……。
「でも、ヴィスタ師匠どこにいるの? 姿が見えないけど」
私たちよりずっと大きなヴィスタ師匠を、まさか見落とすなんてあるはずがない。
でもついさっきまで一緒にいたわけで……。
確かさっきは……ヴィスタ師匠にみんなで抱きついて、地面に押し倒して、それから……。
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