落着アポロジー

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「はーい、じゃあ午前の授業はここまで。今日の宿題は、忘れずに来週までに提出するようにね」 教壇の上の資料をトントンと整えつつ、授業を終えたルミ先生がそう言いますと、丁度そのタイミングでお昼休みを告げる鐘が校舎に鳴り響きました。 周りのクラスメイトの皆さんは、それぞれ席を立ち自由に行動を始めます……それはもちろん、私とて例外ではありません。 「フィナっ、早くいこーぜっ」 「食堂が混んじゃう前に行かないとーっ。席がなくなっちゃうよぉ」 私の両隣……ミヅキとカレンに、それぞれ左右の手を引っ張られて立ち上がります。 「わかっています。自分で動けますから……」 「つっても、フィナってかなりマイペースだからさー、こうでもしねーと心配なんだよ」 軽く二人の手を解こうとしましたが、それは失敗に終わりました。 それどころか、ミヅキには心配までされてしまいました……私はそんな風に見えているのでしょうか。 それなりに素早く行動できるつもりだと思っていたのですけれど。 「ヤミナも誘って、食堂へ急ごっ。なんたって今日はー……」 「エアリの復学記念、でしたね」 「ああっ、フィナずるいっ。私のセリフ取らないで~っ!」 どこかいつも以上に楽しそうなカレンの言葉の次を察して、私が言い当てましたところ……怒られてしまいました。 気持ちを察することが会話で大事なことなのだと教わったのですけれど……この場合だと、それは逆効果なのですね。また一つ、学ばせて頂きました。 「全く……相変わらず騒がしいわね。ほら、行くならさっさと行くぞ。また以前の様に面倒に巻き込まれたら敵わん」 呆れ口調で会話に割り込んできたのは、カレンの口からも出た私たちのお友達、ヤミナその人です。 自ら私たちの方へ話しかけにきてくれたのでしょう。 ……ともあれ、これでクラスの違うエアリ以外のメンバーが集まり、あとは本日の主役を残すのみとなりました。 ……エアリの起こした連続襲撃事件から丸一週間。 とうとう騎士団施設での更生プログラムを終え、今日からエアリも普段通りに学校へ通うことができます。 クラスの違う私たちは、あまり会う機会がありませんが……せめてお昼はご一緒に、と昨日チャットで話し合っていたのです。 その約束を果たすべく……私とカレンとミヅキとヤミナの四名は、エアリが待っているであろう食堂へと歩を踏み出すのでした。
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