落着アポロジー

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私は激辛麻婆豆腐定食、カレンはサンドイッチ、ミヅキとヤミナがカレー、エアリはハンバーグセットをそれぞれオーダー……無事それらを受け取りますと、ちょうどよいタイミングで空いたテーブルへ着席します。 「命とそれに関わった全ての人々に感謝を込めて、いただきます」 「堅っ! そこはいただきますだけでいいだろー」 「それもフィナらしいけどね。ふふふっ」 私は丁寧に合掌し、食前の挨拶を致します。 ……何かおかしかったでしょうか、ミヅキとカレンが一言ずつ私の発言に言及し、そのあとにくすくすとあたたかな笑いが起こりました。 その流れで、ムードメーカーを努めますミヅキがどんどん話を膨らませ、食事に明るい華を咲かせます。 そのとき、珍しくヤミナがしみじみと、一言呟きました。 「はじめて何事もなく食堂で食事をしたわ」 ……? 私は思わず首を傾げます。 ヤミナはそんなに頻繁に、この食堂でトラブルに巻き込まれていたのでしょうか。 「あははっ! 確かに! それ、私にも言えることだから、その気持ちすっげーわかる!」 「あ、そっか……二人は転入生だから、最初がエアリとヤミナの喧嘩で、その次が……」 「先輩たちとのいざこざだな」 ミヅキ、カレン、ヤミナの三人がその当時を思い出して語ります。 確かに、そのエピソードはフィアから伺っていますし……やろうと思えば、その当時の記憶を引き出すことも可能です。 事実、そのワードに反応したのか、断片的ながら映像が流れ込んできます。 ……まさか、ミヅキとヤミナが食堂に行った、たった二回が二回とも、とは思いませんでした。 「この食堂で出される品はどれも美味だが……ろくな目に遭った覚えがない。安価で美味しい料理を提供してくれる代償に、そういう呪いでも掛けられたのかと思ったわ」 半ば呆れたようなため息を吐きつつ、ヤミナはカレーを口へ運びます。 その言葉に反応したのは……今までマイペースに妖精たちとハンバーグセットを食していた、エアリだったのです。 「んー……でも、そういういやなことがなかったら、エアリたち、きっとこんなに仲良くなれてないよー? だからエアリは、この場所のこと……ちょっとだけ好き、かなー。これからもっともっと、好きになると思うけどー」
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